人体力学について
「体は部分的にサビついて仮死状態になる?」
病気や不調を生む根本原因とは、一体なんでしょうか。
この正体は日々の生活で作られた部分的な「サビつき」にあります。
人は生きている限り、さまざまな困難に直面します。
長時間労働による肉体疲労、人間関係などのストレス、異常気象なども人間にとっては大きな負担になっています。
こうした負荷がかかり続けると、防衛本能によって体の一部が硬く縮んでいきます。
それがやがて体に定着し、体の中に淀みを作ります。
それを放っておくとどんどん悪化し、ついには本来の機能を果たせなくなる「仮死状態」に陥ってしまいます。
この「サビつき」があると筋肉に現れると血液やリンパ液の流れを滞らせ、骨に現れると骨の働きや動きが悪くなり、内臓に現れるとその臓器の働きを弱めます。
しかも硬直など軽度のサビつきは、老化現象と混同されがちでなかなか自覚できません。
こうして徐々に周囲の筋肉や骨、神経に影響を与え続け、ついには仮死状態にいたり、自覚症状を伴う病気や不調へと発展するのです。
現代人は共通の弱点を抱えている
じつは日本人の多くが、知らぬ間に弱らせている部位があります。
それは「呼吸器」です。
現代人は肺をはじめとする、呼吸に関わる機能が大変弱くなっています。
原因は、慢性的な運動不足、異常気象の影響、姿勢の乱れや栄養過多、ストレスや腕の使い過ぎによる偏り疲労などさまざまです。
時代の変化によって生じたこれらの現象が絡み合って、近年ではほとんどの体で呼吸器が弱っています。
呼吸は酸素を取り込み全身に行き渡らせる生命活動の要。
そのため呼吸器が弱くなってしまうと、1日何万回と行う呼吸の質が落ちて、生命活動自体が弱っていきます。
本来、体には弱った部分を回復させる機能が備わっていますが、生命力が落ちると生きるだけで精一杯になり、回復に回す力を得られません。
体の連動に不具合があるとサビついていく
呼吸器が弱ることで生命力が落ち、病気や不調に抗う力を失っていく。
これが現代人の特徴ですが、呼吸器が直接的に症状を引き起こすケースも多々あります。
寒い時期に発症するはずのリウマチが夏に現れたり、夏バテのような気だるさが秋になっても抜けなかったりするのは、呼吸器の弱体化によって生じています。
体はひとつの部位が独立して動くものではなく、多くの部位と連動しています。
例えば呼吸の要となる肺は、息を吸い込むと膨らみ、それに合わせて肋骨や背骨が動き胸郭を広げます。
しかし肺の膨らみが制限されると胸郭が広がらなくなり、この動きで使われる胸や背中の筋肉はどんどん弱っていくのです。
胸郭を広げる筋肉が弱る→肋骨が下がる→前傾姿勢を余儀なくされる→筋肉や骨を動かす機会が減りサビつき→神経伝達の悪化などにより他の部位にも影響→あらゆる症状を引き起こす引き金になる。
弱った呼吸器を緩めてみよう!
実際に呼吸器が弱っているとはなかなか実感しにくいと思います。
これを実感するために次のエクササイズをやってみましょう。
動いた後は開放感が得られるはずです。
その気持ちよさがこれまで呼吸器に負担をかけていたことを示しています。
①体操後の呼吸と比べるために、まずは肺のあたりに手を当てて、普段の呼吸と肋骨の形を確認しよう。
②体の前を通るようにゆっくりと腕を上げていく。手ができるだけ遠くを通るように、肋骨を思い切り持ち上げるイメージで。
③そのまま腕を真上まで上げていく。肋骨が持ち上がるのを手で確認しよう。うまくいっていれば、動きがはっきりわかるはずです。
④肋骨が持ち上がった状態をキープしつつ、腕を後ろに回していく。
背中の筋肉に緊張が感じられれば、さらに胸郭が広がる。
⑤もう一方の腕も同様に回し終えたら、深呼吸。普段より多く吸えることが実感できるはず。これは縮まっていた胸郭が広がり、自然に呼吸ができたため。
参考文献 井本邦昭 著
弱った体がよみがえる人体力学より